逃げてしまったトリさんアンケート・まとめ

お寄せいただいたアンケートのまとめ

「逃げてしまったトリさんアンケート」にご協力いただきありがとうございます。 今後もアンケートは続けて参りますが、たくさんの情報をお寄せいただけましたので、一度まとめてみます。

なお、再会できた事例の詳細は「再会事例紹介」を御覧ください。

アンケート結果

再会できた事例は少ない

これまでに頂いた有効な回答数171件のうち、「再会できた」事例は83件。残念ながら半数以上が「行方不明」となっています。

逃げた鳥と再会できたか?

任意のアンケートですので、再会できた経験を持つ方がより積極的に回答いただけている可能性もあります。

そう考えると、実際の再会率ははるかに小さいかもしれません。

逃げた鳥さんの種類

逃げた鳥さんの種類

セキセイインコがダントツの1位。

安価なセキセイインコは、はじめて鳥さんを迎える方の登竜門的な立場になっていると言えます。それだけに飼われている実数も多いのでしょう。

また飼い主に初心者が多いことが、不慣れから逃してしまう確率を上げている面もありそうです。

逃げ出した場所

逃げ出した場所

窓が一番多いものの、玄関やベランダなどからも逃げてしまっています。

当たり前ですが、外界とつながる場所は全て危ないと考えるべきです。

逃げ出した原因

逃げ出した場所

飼い主や家族が鳥を自分の肩などに乗せている時に家人が窓を開けてしまった、というような パターンが多く見られます。

他には餌やりなどの際にすり抜けていったり、ケージの閉め忘れや不具合も多いです。

また「ほんの少し開いていた窓から」という事例も複数ありました。木々の間を飛翔する鳥の能力を持ってすれば、自分の体と同じくらいの隙間など簡単にすり抜けられるのかもしれません。

アンケート結果からの考察

慢心と不注意

アンケートで見えてきたのは、「逃げ出してしまう原因」となったのは、とても単純な理由が多かったということです。

放鳥中に開いていた窓から飛んでいった、ベランダで餌を取り替えていたらすり抜けていった、肩に乗せていることを忘れて外出してしまった…。

逃げてしまった後に振り返れば、危機意識の不足は明らかです。

また、ケージの底が抜けてしまった等のアクシデントも、それまで全く問題が無かった経験から、慢心してしまった言わざるを得ません。

二重のセキュリティ

私たち人間がお世話をする上で、餌をやる際のすり抜けやゲージの底が抜けるのは、いくら注意してもその可能性をゼロにはできません。

であれば、それらが万が一発生しても大丈夫な環境を整えるのが大事です。

餌やりの時には窓を全て閉める、ケージの移動時は底に手を添える、ケージ内に鳥がいる時も窓を開ける際は常に網戸を入れておく。ベランダに出している時にケージの扉を開くなどはもってのほかです。

1度発生したら取り返しの付かないことになるかもしれないのですから、セキュリティは厳重に、です。

命の危機に直結する超ハイリスク

再会できた喜びの声がある裏で、再会できないケースもたくさん起きています。

逃してしまったこ飼い主さんの中には、心底後悔する中で心のバランスを崩してしまう方もいらっしゃるようです。

そのような方が「慢心」や「不注意」などの文字を見れば、追い打ちをかけられた気持ちになるかもしれません。

しかしトリさんにしてみれば、逃げた時点で「命の危機に直結する超ハイリスク」状態です。

心のバランスが保てない時には、人間なら心療内科などメンタルのフォローが期待できますが、外に出たトリさんを守ってくれるものは何もありません。

命を守れるのは、そのような状況にならないよう飼い主さんに全力を尽くしていただくしかいないのです。

そのためにも、このようなページが必要なのだと感じています。

「逃げる」のではない

掲示板などで良く見かける「インコが逃げてしまいました」という表現が気になっています。

「逃げる」という言葉からは、「いたくない場所から離れる」「敵から逃れる」というニュアンスを無意識に感じてしまう気がします。これがくせ者だと思うのです。

「逃げた」という話を聞いても、「ウチの子は恐がりだから外に出られるワケが無い」といったように、何となく“ウチの子は大丈夫”と感じてしまい、ある日気が緩んでしまうのでは無いかと。

もちろん他人へ情報を伝達する上での「逃げる」という言葉の使用を疑問視する意味ではありません(当サイトでも使用しています)。あくまで言葉から受ける印象が、緊張を緩める原因の一端ではないかという仮説です。

外に飛び出したトリさんは、決して「いたくない場所から離れる」のが目的では無かったはずです。

人間にとっては「家の中」と「外」を隔てる、絶対的な境界線である「窓・扉」。しかし、トリさんにとってみれば家の中にある「和室のふすま」や「トイレの扉」と同じく、「その先に行くと何があるのかな?」という好奇心を呼び起こさせる一枚の板でしかありません。

これまで家の中での経験がそうだったように、その一枚の板の向こうには、まだ見たことのない安全な遊び場があるとしか思っていないのです。

そう、つまり「逃げた」のではなく、好奇心から「まだ見ぬ板の向こうに冒険に出てしまったら帰れなくなってしまった」のです。

あるいは何かの拍子に驚いて本能的にひとっ飛びした結果が外だったのです。

パニックになるような出来事が無くても、トリさんは窓や扉の向こうへ行ってしまうことがあることを心に刻み、トリさんがカゴから出ている時は、絶対に窓や扉を開けないようにしましょうね。

懐いていれば帰ってくる?

「ウチのトリさんは、私や家族に懐いているのにどうして逃げたのか?」と疑問に思われる方もいるとおもいます。冒険から帰ってきたトリさんのコメントを読んでいますと「もう少し懐いていれば」と言うご意見もありました。

たしかに懐いていれば帰ってくる可能性は高まるでしょう。しかし、それで外への興味が失われるかと言えば、答えは恐らくノーです。

人間の子供は、他の動物と比べると未熟な状態で産まれ、養育者の助けがなくては生きて行けません。

ハイハイから掴まり立ちを経て2足歩行を覚える頃には自立性も芽生え、「見た対象に興味」を持ち、今までは誰かの助けがなければ行けなかったところへ自分の足で行けるようになります。

そして親は、「危ない」と危険を察知した時にはその行動を止めさせようとします。これは、トリさんと飼い主さんとの関係でも同じような事が言えます。

トリは飛ぶ

いくら懐いていても、トリさんが興味を持ってしまえば、当然「飛びます」。それが彼らの移動手段だからです。だから飼い主さんは親として危険を察知し、「危険因子」を生活環境から除外して行く必要があるのです。

予防としてドアの前にカーテンを付けたり、長いのれんをつけたりするだけでも効果があるでしょう。窓は網戸がある側を開けるようになどの工夫も必要です。

羽を切るというコメントもありますが、「カットしているから安心と油断して窓をあけたら、持てる力を振り絞り、カットされた羽で空へ飛んでいってしまった」という話を聞いたことがあります。その現場が高層マンションだったらと思うと恐ろしい限りです。

「カットしたものの、伸びかけていたのを気づかず飛んでいってしまった」という話も聞いたことがあります。カットしたとしても油断は禁物です。

私たちは人間は、トリさんの身体能力を理解し、彼らの能力を認め決して否定することなくありのままを受け入れてあげる努力が必要です。

それは家族として迎える(可愛いだけのペットちゃんと言う方は除きます)ことは「ありのままを受け入れる」と同じ事だからです。すぐに「ありのままを受け入れる」ことは難しいので、努力が絶えず必要なのです。

好奇心を抱くと言うことは、脳を含め心が正常に発達している証拠です。しかし冒険心があるトリさんにとって、カラスなどの外敵が多い外界は命を落とす危険もある、あまりに危険なフィールドです。飼い主さんが守ってあげてください。

冒険をするトリさんは悪い鳥ではありません。ましてやあなたが嫌いになったから逃げ出したのではありません。興味があって外に飛び出したら「帰り道が判らなくなった」だけなのです。

お家に帰ってきたら優しく「どんな冒険をしてきたの?」と聞いてみて下さいね。きっと大冒険のお話をしてくれると思います。そしてそれが「最後の」大冒険になりますように。