インコさんの「Q.O.L」(クオリティー・オブ・ライフ)のために、私たちはパートナーとして何ができるのか。
当然のことですが、そのインコさん、インコさんで置かれている状況が違います。それは、どの飼い主さんも、「同じお家で同じ間取りに住んで」、「生活パターンも同じ」ではないからです。
飼い主さんに対してのアドバイス方法も、同じとは行きません。飼い主さんの工夫次第で、インコさんとの快適な生活は実現できます。
ここでは、チョコの生活ぶりをご紹介します。
温度管理
冬・春・秋は平均23度くらい。夏は25度を目標に設定している。チョコの主治医から「真夏でも気温を低めに設定しておけば冬場の寒さに慣れやすい」と、アドバイスを頂いた。
真冬の温度管理:命名「シャトー・デ・チョコ太」この中にいれて、ファスナーの上げ下げをして温度調節をする。
カゴの下に配置された小型オイルヒーター“ヒーターさん”。冬場の温度管理では最重要アイテムだ。室温に合わせて強弱を変えられるし、一定温度以上になればスイッチが切れる。ただし過信は禁物、常に温度の監視を。
そして必ず必要な温度計。これはコードの先端部分と、本体部分の2カ所の温度を表示できるタイプ。爬虫類向けとしてペットショップに置かれていることが多い。
ケージ
ケージは、HOEI製ステンレスケージを使用:横幅×高さ×奥行き=46×46×46(cm)
オカメインコさん用にセキセイインコのチョッターは住んで居る。なぜ、この様な広いケージにしたのか? 女の子で狭いところが大好き。暗がりをつくらず、狭いところもつくらず。そのため、この様な大きなケージに変えた。このケージにしてからは卵は一度も産んではいない。
小さな餌入れと水入れを使用
- 容器の下の暗がりに潜り込みのしたに潜り込む。潜り込むだけならばいいのだが、潜り込んで、容器をオスと見立て発情ポーズをとった。
- 容器の中に入り、巣箱に見立たて発情行動が見られた。
この2つの事から我が家では、付属の餌箱を使わず小さい容器を使っている。小さい分、頻繁なチェックが欠かせない。
以前住んでいた家(右)からステンレス製の新居(左)へ引っ越す日。
ケージの台
シャトー・デ・チョコ太
ケージの台として、植物用のビニール温室を使っている。これは、前面両側にファスナーがあるので、温度調節などに大変重宝している。
ファスナーの上の両側に、穴が開いているので換気状態も良い。下にペットヒーターを入れているので、閉めきりの時には乾燥に注意しなければならない。
個人的見解なのだが、乾燥気味のほうが発情しづらいと思われる。
これが「シャトー(宮殿)」。ビニール製の簡易温室。安価だが威力は絶大。ファスナーを閉めれば室温が一ケタでもヒーターで23度に保つのは容易だ。しかも組み立て式なので簡単にしまえる。夏場はビニールだけ取れば快適。製品によっては購入直後の残留物質などが心配なものもあるかも知れない。
本来の目的はわからないけれど穴が空いているので…
温度計のセンサー部分を中に入れ、温度計は外でチェック&操作。
チョッターハウスの置き場所
窓辺以外:窓辺の寒暖の差 窓辺にケージを置くことは、昼夜の寒暖の差に注意しなければならない。
昼と夜との温度差が10度以上の場合にには、体調を崩しやすいので注意が必要である。病鳥、老鳥などには温度差がない生活を心がける。
家の置き場所は、我が家の中で一番温度が安定している場所である。マンション住まいであるが、窓が多く朝起きたら一番に日焼け止めを塗らなければいけないくらい、お日様には恵まれている。
高級マンションではないので、紫外線カットのガラスでもない。直射日光は、日射病・熱射病などの危険にさらされる。緩やかなカーテン越しの光で十分である。しかし、紫外線防止カーテンを使用している場合には、工夫がひつようであろう。
放鳥
一日一回10分:もちろん国際基準…ではない。病鳥を毎日外で遊ばせてしまうのは、体力がすり減ってしまう。その子に合った環境をつくる。
病鳥であれば、外に出たがる場合でもなるべく出さないようにする。そのかわり、飼い主さんが十分に側に付いていてあげる。チョコやライムの闘病中は何週間も外に出さない日もあった。それでも、彼女たちから受ける愛情は変わらない。閉じこめるのと、養生は違うと言うことだ。
我が家の闘病
出して欲しいときには、手を入れてあげた。少しだけ出すときもあるが、その時には室温などに気を配る。十分に養生をしてもらために、人間が「インコと遊びたい気持ち」を我慢する。彼、彼女たちが安心するまで、側で見ていてあげる。優しい声を掛けてあげる。
言語理解はなくても、非言語理解能力は大変高い。すなわち、飼い主さんが安心して「大丈夫、大丈夫だよ」という語調(声の調子)などを彼らは察知するのだ。鳥だけではなく、動物や、人間の子供も非言語能力が高い。
危険な物
人間の生活にある全ての物を疑え
- 観葉植物全般
- 室内鉢植えの化学肥料
- チョコレートに含まれるテオブロミンによる中毒
- フッ素加工のフライパン
- 壁紙などから発せられるホルムアルデヒド
安全性に不安があるのなら、とりあえずは避けるのが鉄則。
我が家では…「とーちゃん」。これは、チョコの発情を促してしまうからである。
ごはん
ごはん:ハリソンフード・アダルトライフ・ファイン。フォーミュラー・腎臓食。
飲水過多で、糞便がビショビショであった。腎臓病食にしてから飲水量が減り、ビショビショにはなりづらくなった。
ハリソンも腎臓病食もいくつも小分けにして、冷凍保存をしている。その理由として地震の時に非常食として役立つからだ。冷蔵庫を掘り起こして、ご飯だけは確保しなければ…。
ハリソンフード・アダルトライフ・ファイン。病院から購入している。
そしてこちらがフォーミュラー。
サプリメント
サプリメント:アガリクス、アクトミンを併用。
ライムの時には、これにメシマコブを入れていた。羽が生えそろった。たぶん効果あったはず!
栄養補助食品なので、これだけで病気は治らない。病気になにくい体作りのために、与えている。当然、主治医の指導のもと。
検診
予期予防のための検診
「あのとき、病院に…」と悔やむ前に、普段から検診に行き、先生と交流をとり情報を「掴みます」。待っているだけではなく、自分から情報を得るために、我が家では通っている。
人畜共通感染防止
春・秋のクラミジア検診(オウム病)にゆく。お互いの幸せのためである。
通院中の注意
温度管理。混雑時の移動など。内部の温度を外から確認できる温度計を購入すれば安心である。我が家では通院するのに、片道1時間半掛かるところに行っている。1時間半は乗り継ぎが良い場合だ。悪い時には2時間かかる。重いソノウ炎だったチョコも良く耐えてくれたと感謝する。
通院に1時間以上掛かって通われる方は珍しくはない。飼い主さんが倒れない程度の距離で、探せるのが一番である。飼い主さんが倒れたら、インコさんは誰が看病してくれるのでしょうか…。くれぐれも、飼い主さんが倒れないことを優先させて欲しい。普段からそれを考慮した病院探しが望ましいのだ。
検診に連れてゆくことで、ペットにも市民権を
ただ「動物虐待反対」と言うだけではなく、多くの飼い主さんが「動物さんに市民権を、と訴えていること」を数字で示すために、私は、検診に連れて行っている。心の動きは、見た目だけでははかれない。測る材料として、数字が欲しいというならば、私はその数字の一つに「検診」を入れて欲しい。
動物愛護法は出来たとしても、動物さんの扱いはあくまで「器物」であることを忘れてはならない。しかし私一人くらい、もう少し贅沢の望みをもち活動しても良いと考える。すなわち、ペットにも市民権を!
お薬
禁忌事項
テトラサイクリン系薬とカルシウムを一緒に経口摂取させてはならない。オウム病の治療薬であるテトラサイクリン系の薬は、カルシウムとの結びつきが強いので、薬の威力が弱まってしまう。
抗生物質
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)――抗生物質(メチシリン)への耐性を獲得した(抗生物質により強い)ブドウ球菌のことである。治療薬を飲んだり飲まなかったりすることで、MRSAのような耐性菌が出現してきた。抗生剤は処方された通りに飲ませる。
飲ませ方
飲まないと死んでしまうと…焦りから、乱暴になったり、うまく飲ませることが出来ないことがある。焦ってはいけない。抗生物質は、処方されたとおりに飲ませる。
「ウチの子は絶対に飲まない」と、私は思っていた。実際、全く飲もうとしなかった。しかしこれは間違いであった。「ウチの子に飲ませることが出来ない」という焦りがあったことに気付いた。
チョコへの飲ませ方
ティースプーンを温める。そこに、熱めのお湯を入れて、40度に冷めるまで待つ。それから薬を入れて与えると、不思議なくらいチョコは飲んだ。毎回温度計で測る手間は大変なものだ。ものすごく、面倒臭い。
チョコは大変重いソノウ炎で、薬を飲んでも吐き出した。吐くとネバネバの臭いソノウ液が出てきた。それでもあきらめずに、処方されたブドウ糖10%を40度にして何度も与えた。これは脱水症状を抑えるためである。
ライムの場合
クチバシを押さえ、あけた口に薬をスポイトで垂らす。そのまま人間の指に噛みつかせる(怒りの発散)。その時に薬を飲み込んでしまう。
これ、実際にはもの凄く痛い。そして面倒な手順でもある。それも超えて、「面倒が見たい」と思えた。すべて、チョコとライムが優しい気持ちにさせてくれたのだ。
卵について
どの飼い主さんにも永遠の課題
動物病院の先生に毎回、必ず相談するのが「卵」。
我が家ではここ3年半くらい産んではいない。ここまで、本当に苦労があった。遊びたい気持ちも抑えて…。チョコも寂しくないようにとか…。ケージの配置などにも、十分考慮し…。発情が激しくなり始めたときには三週間くらいは、外出禁止令を出す。その間、試行錯誤の上、寂しくないような努力をする。
たとえば、ケージの側にいるときには、顔をケージに近づけない。目線を合わせるときには、少しだけ(1m)距離をあけて、見る。声をいつでも掛けてあげる。大好きな歌のを沢山歌う…。割り箸さんを付けてあげる。割り箸さんの位置を、こまめに変える。好きなオモチャは常駐させず、人間が一日外出の時に入れてあげる。天敵を側に置いて、マイナスの刺激もたまには与えてみる(発情ポーズをしたときのみ)。こんな所である。
看護
その子が良い状態になるように
「こっちの方が良い」と寝ている子を動かすのは可哀想だ。むしろ起きないように、寒くないように保温をしてあげる。ストレスの少ない環境作りが望ましいが、何がストレスになるのかは、個体差であるので、それを見つけるのが大変である。すなわち、看護経験があっても、個体差を見誤ると、大変なことになるのだ。
チョコとライムの看護の差
チョコはパパちゃん派、ライムはママちゃん派。特にライムは気難しい所があり、パパちゃんがそばを通っただけで威嚇をはじめる。チョコは、ママちゃんからの薬はあまり飲みたくない。しかし、チョコからの信頼を得て、飲んでもらえるようになった。信頼を得るまでが、大変な作業でもあった…。
看護は孤独な作業である
批判や批評は誰でもできる。看護している人に対して、暖かい「支持」が必要なのだ。その飼い主さんのやる気を阻害するような事は、絶対にしてはいけない。批判や批評があって、表に出てこない虐待も多くある。
私が、若いお母さん(人間の子育て)に言うのは「育児は孤独だよ。あなたは、その中で良くやっている」と、まず誉めてあげる。育児は、会社のように自分の成果が数字となって現れない。
そして、一番問題なのは「育児は上手に出来てあたりまえ」という観点である。上手にというのは、誰が決めるのか?自分以外の他者がみて、「上手に育児が出来ている」である。自分が「これでいい」と思っていても、外野はうるさい。そして、「育児は上手に出来てあたりまえ」であると、一体どこで誉めてもらえるのか?
「他者からのプラス評価を貰いたいが為に、子どもを産むな」と批判できるか? 出来ません。思うのは良いのでしょうが、批判する事で、これが幼児虐待に繋がるからである。
みんな、子供を育てながら、子供と一緒に成長している。パーフェクトなんてない。パーフェクトだと思っているのは、実は親だけで、その子供が結婚して子供を持つ様になり、実はパーフェクトだと思っていたのは母親だけであり、娘は母親との確執で相談にくる人もいる。親にとってパーフェクトな子育てであったと思っていても、育てられた子供が、実はうつ病を発症した例はいくつもある。
なので、自分は良い飼い主のつもりであっても、本当にどうかなんて、動物さんにしか分からないのである。
というわけで、批判や批評ではなく支持的態度で支援することが一番望ましいのである。
災害対策
インコ避難セット
キャリー、カイロ、雨合羽(インコ向け。人間は濡れても良い)、冷凍庫にインコごはん、未開封のごはん。
インコ避難協定
もしもことを考え、インコさんをお互いに一時避難させる遠隔地のお宅を決めておく。その時、毎年春・秋のクラミジア検査をしていれば、一時保護してくださるお宅の方も安心して預かれる。
いざというときのために、シャトーの傍らに置いてあるインコ避難セット、通称「逃げ袋」。これは一番手軽に持ち出せる最小限のセット。当然この他に余裕があれば併せて持ち出す重装備セットが玄関にある。とにかくこの子さえ助け出せれば…。
動物虐待防止運動について
虐待はいけない行為である。しかしここで、虐待がなぜいけないのかを道徳的に言っても意味がある場合と、意味のない場合がある。
虐待する人には、分かっていながらやってしまうケースと、分からずやっているケースがある。分かっている人に対して道徳的反省を促すと、治る人もいる一方で、エスカレートする人もいる。
自分の行為が虐待行為だと判っていない人も、道徳的指導により改心する人もいれば、「これのどこが道徳的指導であるのか?」と、指摘に困惑する人もいる。
いずれの場合も、道徳的指導に「反抗的態度」をとる場合には、それぞれ違ったアプローチが必要である。
分かっていながらやってしまうケースで、道徳的指導を受け入れない場合は、心理カウンセリングを要する。決して素人判断で扱ってはいけない。
分かっていないケースで、道徳的指導に従えない場合には、その人の話を聞いてみる。
例えばその人の生育歴を見たとき、動物が「食(家畜)」「防犯(番犬)」などであり、愛すべき対象(愛玩動物)ではなかった場合には、いくら私たちの思う道徳を話しても理解できない場合もある。
その時にはその人の生育歴をじっくり聞き、信頼関係を得てから、法的なことなど少しずつゆっくり話すと良いであろう。
いずれにしても時間がかかり、大変な作業になる。
排除ではなく援助へ
虐待するする人のその行動を支持するのではなく、その人の「人としての尊厳」を支持し、虐待しないように援助する方向に支持するのが望ましい。虐待する人から動物さんを取り上げても、隠れて購入する事もまた多いのである。
排除では何もはじまらない。援助が必要である。
最後に
あたち、チョコよ。ママちゃんのうんちく、長いでしょ〜。 偉そうなことばかり言っているけどね、みんな、あたちからの受け売りよ。ママちゃんが言っているんだ〜なんて信じたらダメよ!
みんなのうちのインコちゃんも、あなたのことが大好きよ。ウフフ。 だからって、あんまりチューチューしたら、卵産んじゃうわよぉ。
それじゃ〜、元気でね!